Vol.8 新たなチャレンジのためのセルフエフィカシーと習慣化スキル(後半)

成功体験

新しいことにチャレンジしたいとき、同様のことで成功を積んでいると、それが自信につながることがあります。まだ新しいことにチャレンジする自信が持てないようでしたら、少し取り組むことの難易度を下げ、現段階で確実にできることから少しずつ取り組んで、自信を積み重ねることも大切です。

メタ認知のときと同様に、職場の気になる異性への告白を例に考えてみましょう。いきなり告白するのは勇気が要るものです。そこで、まずは相手の目を見て笑顔で挨拶をする、世間話をしてみる、みんなで一緒に昼食を食べてみる、連絡先を交換する、二人で食事をするなど、少しずつ成功体験を積み重ねていくことで自信ができ、告白の勇気が湧いてきます。

とはいえ、実際に行動するのにまだまだ勇気が出ないということもあると思います。そんな時は、信頼できる人からの言葉による後押しも自信を高めるのに役立ちます。例えば、親しい同僚から「あなたならできる!上手くいく」と励まされると、何だかうまくいくような気がしませんか。

セルフモニタリング

新たなことにチャレンジしたけれど、続けていくことが難しく、三日坊主で終わってしまうことは結構多いものです。そういった悩みを持つ人には、セルフモニタリングという技法をおすすめします。

セルフモニタリングとは、自分の行動を客観的に記録することです。たとえば、子どもの頃に歯磨きカードをもらったことのある人もいると思いますが、これもセルフモニタリングのひとつと言えます。

行動の記録の仕方や、記録すべき内容は、そのときの自分の目標に合わせて考えていきましょう。たとえば、ダイエットにチャンレンジしたい場合であれば、食事と運動が記録の内容となるでしょう。その場合、毎日の食事の写真や体重、散歩の歩数などの運動量を記録していきます。このとき、ただ歩数の結果を書くだけではなく、以下の表のようにどの程度頑張ったのかというような経過も書いておくと、振り返ってみた時に励みになり、自信が高まります。

また、単に記録するだけではなく、目標を立てて、それをクリアしたら何か自分へのご褒美を用意するなどの工夫をすると、さらに習慣化しやすくなります。先ほどのダイエットの例であれば、2週間続けて1,500歩散歩できたら、好きな洋服を買うというような具合です。

いかがでしたでしょうか。新しいことへのチャレンジは、誰でもしり込みしがちになるものです。ここで紹介した知識・技法を使って、新たな事柄にチャレンジし、自分の人生をより充実したものにしていきましょう。

公認心理師 橋本 空

参考文献

今井正司・今井千鶴子 (2011). メタ認知療法 心身医学, 51, 1098-1104.

黄 正国・兒玉憲一 (2012). がん患者会のコミュニティ援助機能とベネフィット・フ ァインディングの関連 Palliative Care Research, 7, 225-232.

竹中晃二 (2009). 2. 健康行動理論の基本 糖尿病, 52, 507-510.

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