SHINAYAKAプラス Vol.10 ウェルビーイングを実現する生き方

ふだんの生活の中でみつけられるちょっとしたうれしい気持ちやほっとする気持ち、そのためのポイントなどを皆さんと共有できたら、という思いで、これまで様々なテーマについてお話をさせていただきました。今回は一つのまとめとして、ウェルビーイング(幸せ)について考えてみたいと思います。

幸せになるためのキーワードは「本来感」

心理学では、幸せに関する研究が多く行われています。幸せに関連する概念で欠かせないものの1つに、「本来感」があります。本来感とは、自分の意志や気持ちに従い、素直にありのままに生きていることです。本来の自分らしくいられることで、人間的に大きく成長できたり、他者と温かな関係を築けたりするため、幸せに結びつくと言われています。

幸せになるためには…

これまで日常生活のなかでウェルビーイングを高めるための様々なポイントをお話してきました。食べ物や料理、人との距離の取り方、自己肯定感の高め方、自然に触れること、興味の幅の広げ方、怒りのコントロール、何かに夢中になること、誰かの役に立つこと、身体を動かすこと。これらの中に少しでも興味あると思えるものはありましたでしょうか。もしかすると、中にはいつもなら躊躇してしまうものや自分には向かないと思うものもあったかもしれません。たとえそんなテーマのものでも可能そうに思えるものならば、踏み出してみてはいかがでしょうか。

心理学の有名な理論にジョハリの窓というものがあります。その中では、「自分」には4種類あるとしています。それは「①自分も他人も分かっている自分」、「②自分しか知らない自分」、「③自分は知らないけど他人は知っている自分」、「④自分も他人も知らない自分」です。人は新たな経験や新たな人との交流などを通じて、③や④の自分の領域を広げることができます。こうしたことを重ねることで、本来の自分のあり方に気づくことができると言えそうです。そしてその時のあなたはウェルビーイングを実現する生き方ができていることでしょう。

ウェルビーイングを高めるための方法は人それぞれです。皆さんが、より充実した、幸福に満ちた毎日を送れるようにこれからも応援しています。

公認心理師 橋本 空

参考文献

伊藤正哉・小玉正博 (2005). 自分らしくある感覚(本来感)と自尊感情がwell-beingに及ぼす影響の検討 教育心理学研究, 53, 74-85.

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