SHINAYAKAプラス Vol.9 身体を動かすことの心理

皆さんはふだん、意識的に身体を動かしていますか?おもしろいことに、心と身体は相互に対応して変化することがあります。例えば、身体をあまり動かさずにいると、柔軟な思考ができなくなることがあります。一方で、身体がほぐれていると心もほぐれて柔軟な思考ができるようになります。このことから、落ち着いた柔軟な心を手に入れるためには、普段から身体も柔軟にしておくことが大切だと言えそうです。そこで今回は、身体を動かすこと(ストレッチ)が心に与える効果や、簡単にできる身体の動かし方などについてお話したいと思います。

ストレッチの心理的効果

ストレッチをすることで爽やかな気分や幸せな気分になれることは、多くの研究によって証明されています。これは皆さんも実感しやすいところかもしれませんね。また、ストレッチには精神的な疲労を回復させる効果もあります。スマホやパソコンなどで姿勢が固定され、気づかないうちに頭が疲れたり、肩や首が凝ったりしてしまうこともあるかもしれません。そうしたときには身体をほぐすことで、頭をリフレッシュさせたり、凝りを解消したりすることができます。

ストレッチのポイントは呼吸です。鼻からゆっくりとたくさんの空気を吸い込み、30秒ぐらいの時間をかけてゆっくり口から息を吐き出しましょう。ゆっくり呼吸しながら体を伸ばしていくことで、より心身がリラックスし、硬くなった体もほぐれていきます。

いつでもどこでもできる「ながらストレッチ」

ここで紹介する首のストレッチや腕のストレッチは、いつでもどこでも簡単に行えます。

首のストレッチの手順

①背筋を伸ばしてまっすぐに立つ。両手は後ろに回して、右の手首を左手で掴む。

②首を左斜め下に倒す。右側の肩が上がらないように、伸ばすほうの手首をもう片方の手でしっかり掴んでおく。

③手を変えて反対の左側の首筋も同じようにストレッチする。

腕のストレッチの手順

①背筋を伸ばして椅子に座る。

②手のひらを前に向けた状態で、片方の腕を伸ばす。伸ばした腕の指先をもう片方の手で掴み、自分のほうへ引き寄せる。

③腕の内側が上に来るようにして手の甲を前に向けた状態で、片方の腕を伸ばす。伸ばした腕の指先をもう片方の手で掴み、自分のほうへ引き寄せる。

ここでご紹介したストレッチは、家事など、何かをやりながら自宅で手軽にできるもので、身体への負担が少ないものですが、ご自身の体調に合わせ、無理のない範囲で日々の生活の中に取り入れてみていただければと思います。

公認心理師 橋本 空

参考文献

伊藤マモル・中澤 史・朝比奈 茂・落合久夫・鈴木良則・山本利春 (2011).  ストレッチングが計算課題遂行数と気分尺度に及ぼす効果 法政大学体育・スポーツ研究センター紀要, 29, 19-28.

松尾千秋・草間 益良夫・黒川隆志 (2007). スタティック・ストレッチングの効果―実施方法の違いに着目して― 広島大学大学院教育学研究科紀要, 56, 281-286.

山本道生(編) (2016). 寝たまま簡単ストレッチ:ふとんの上でできる目覚めの朝ストレッチ&眠りの夜ストレッチ 株式会社枻出版社

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